建築といえば意匠設計、構造設計、設備設計と分かれ、それぞれ別々に設計されていました。しかし最近ではBIMを導入する企業が増えています。一言でBIMといっても製品ごとに重視する機能は異なり、デザイン部分の意匠設計を重視するものから構造・設備、施工を重視したものまで色々あります。特に意匠設計にBIMを使用する企業が多いのは大きなメリットがあるからなのです。
これまでのCADと違いBIMでは屋根や壁などの仕様や位置情報などの建築情報から施工現場の状況やコストまで建築に関するほとんどの項目についてデータとして取り扱うことができます。
BIMを導入する前は、意匠設計者がいくら美しいデザインをしても、設備、施工段階で実現不可能であることがわかりデザインを修正せざるをえないという状況がありました。しかしBIMなら意匠設計段階で全ての問題点や不具合を把握できるため、部材や環境などとの整合性に煩わされることなく設計に時間をかけることができます。
また意匠のプレゼンテーションによって設計の見える化が迅速にでき、施主や建築関係者の間で、いつでもイメージを共有できるというメリットもあります。
BIMソフト+レンダリングソフトを
連携させたプレゼン事例を紹介
意匠設計に重点を置いているBIMソフトの中で特にデザインに力を入れているのがVectorworksです。外観や内観のデザインやプレゼンに適しています。
ハンガリー製のArchicadと米国製のRevitは2強BIMソフトといわれ、日本の建設会社でも良く使われています。どちらもデザイン志向が高くBIMソフトです。
福井コンピュータアーキテクトの日本製BIMソフトです。日本の設計業務に合わせて作られているので日本仕様の施工図を作成する機能もあります。
BIMをより効果的に発揮できるのはプレゼンテーションといってもいいでしょう。BIMを利用したプレゼン方法は色々ありますが、BIMと連携するレンダリングソフトを使用することでリアルな3Dパースを作成したり、ムービーのような作品で完成後の建物をイメージさせたり、ウォークスルーで仮想の建物の中を歩き回るような動画を作成してプレゼンすることもできます。
もっとも簡単なのは施主のところにノートPCを持っていき完成予想図のCGや建物の中を仮想的に歩き回るウォークスルーなどを見せると言う方法です。クラウドを利用することでいつでも設計や工事を見ることも可能です。 企業などではコンペに利用しているところも多く、調査でもプレゼンテーションや競合他社との差別化のためにBIMを導入しているところが増えています。
※参考資料:BIM活用実態調査レポート2020年版(PDF)
(https://damassets.autodesk.net/content/dam/autodesk/www/apac/pdf/bim-report-final.pdf)
ほとんどの意匠設計BIMソフトについている日影シミュレーション機能を使うことで、太陽光を有効活用し、採光・通風などを考えた設計や最大の床面積についても検討することができます
2020年度に建設関係者480人に行った調査(※1)にて56.4%が勤務先でBIMを導入していると回答されているように、BIMの導入は急速進んでいます。
BIM導入済みの286の設計事務所においては、65.9%が「効果があった」とし、プレゼン力の向上、ミスの減少、時間短縮などの実感も得られています(※2)。
代表的なBIMソフトやおすすめの連携ソフトもまとめていますので、検討してみてはいかがでしょうか。