BIMとは「Building Information Modeling」の略語で、コンピュータ上で建物の意匠や構造、設備などの構築を行って、3Dの仮想建物立体モデルを作り、建物の管理や維持をしやすくする技術です。
設計を始める前段階で建物の構築ができるため、設計や施工の工数を削減したりミスを減らしたりして、建物づくりを効率的に進められるようになります。
BIMは、その技術単体ではもちろん、その他のテクノロジーと組み合わせることで、さらなる活用ができると期待されています。
例えば、熟練者の経験則にもとづいて判断されていた場面でも、AIが膨大なデータをもとに選択肢を提案してくれるようになります。すると、熟練者がいない現場でもスムーズに工事が進められるようになったり、施工計画のたたき台を作成する時間を大幅に短縮できたりするのです。
ほかにも、BIMとAIの組み合わせでさまざまな試みが実施されています。ここからは、実際にBIMとAIを組み合わせている企業の活用事例を紹介します。
大成建設株式会社と日本マイクロソフト株式会社は、AI・IoTを活用した施設運用や保守事業の変革のための協業プロジェクトを開始しました。
「Microsoft Azure」を活用したAI・IoT技術で、建物設備の自動制御や利用者データの収集を実現するクラウドサービスを構築。
BIMで構築された3Dモデルを、設計・施工領域だけでなく建物の運営管理でも活用し、管理業務のコストパフォーマンス向上を目指しています。
参照元:大成建設「企業情報:AI・IoTを活用した施設運用・保守事業の変革に向け協業を開始」(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/191015_4811.html)
株式会社 安藤・間(安藤ハザマ)は、BIMとAIやデータベースを活用し、ボリューム設計を自動化するシステムを開発中です。開発が成功すれば、設計者が敷地や建物の基本情報やいくつかの簡単な追加条件を入力することで、ボリュームプランと概算コストがセットで作成できるようになります。
これまで、ボリューム設計は設計者の知識や経験など個人の力量に左右されており、経験の浅い設計者が作成すると、完成までに4~5日程度かかっていました。システム完成後は、ボリュームプラン作成から概算コスト算定まで1日で自動作成できるようになります。
BIMとAIの導入によって、ボリューム設計の生産性を従来の5倍にできると期待されています。
参照元:安藤ハザマ「プレスリリース2022.01.24」(https://www.ad-hzm.co.jp/info/2022/20220124.php)