BIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling)とは計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入し、施工、維持管理の段階での3次元モデルを作成・連携することで一貫してデータを活用するという、国土交通省が建設業の業務効率化や高度化を目的に2012年から行っている取り組みです。
その目標は「2025年までに全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用する」ということだったのですが、2020年4月に国土交通省は「2023年までに小規模工事を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用する」ことを決定。実質2年の前倒しとなりました。
※参照元資料:国土交通省「第4回 BIM/CIM推進委員会資料」(PDF)
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001362119.pdf
BIM/CIM適用の目的はプロジェクトの工期を短縮して品質向上させるために初期段階に負荷をかけて完成度を高めるというフロントローディングという考え方にあります。例えばあらかじめ立体図面を作成しておけば配管など干渉物チェックができるので設計ミスが減り、施工段階の仕様変更や手戻りを減らすことができます。また点検結果や施工履歴を累積し活用することでコスト削減も期待できます。
新型コロナウィルス感染拡大によりテレワークやリモートでの打ち合わせなど働き方も変わってきていますが、建設業界でもこうした取り組みが求められるようになってきています。もともと深刻な人手不足があり、今後さらに拡大することが予想されていましたがコロナウィルスによって加速する方向にあるからです。
国土交通省ではBIM/CIMの普及に向けて環境整備を進めています。2020年にBIM/CIM実施要領やBIM/CIM活用工事における監督・検査マニュアルを作成、ここには3Dモデルに現場映像を重ねて表示する拡張現実(AR)技術を使って遠隔操作する方法などが示されています。またBIM/CIMを扱える発注者養成のための教育体制を各地に構築し、業務プロセスに応じた利用を周知させています。
BIM/CIMの普及への取り組みは地方でも広がりつつあり、茨城県では地元コンサルティング会社が3Dモデル作成のできる環境構築を行っています。1万㎡以上の土木工事に適用される「チャレンジいばらきI型」では建設コンサルティング会社が3Dモデルを作成し、施工者との協議のうえ施工手順などを考慮した設計がおこなえるようにしました。そのモデルは工程管理や出来形にも活用されています。
BIM導入は公共事業を行う企業だけが進めればよいというものではありません。やりとり行う企業においても、建設 DX(デジタル・トランスフォーメーション)の一環として、デジタル技術とデータ活用や導入を進める必要があります。社会や産業、生活のあり方を抜本的に改革し生産性を上げるために、どんな企業でも遅かれ早かれBIMは導入すべきものであるといえるのではないでしょうか。