BIMを外注したいと考えたとき、依頼できるのは大きく分けて「請負業者」と「フリーランス」の2つがあります。どちらも使い方を熟知しているプロフェッショナルへ依頼するので、はじめての導入でも効率よく業務を進められるでしょう。
ここからは「請負業者に依頼する場合」「フリーランスに依頼する場合」の料金相場やポイントを詳しく解説していきます。
ここで言う請負業者とは、設計事務所や工務店などの名前で営業している業者です。BIMに関する一連の業務を発注すれば期日までに納品してくれるので、それに応じて成果報酬を支払います。
BIMを請負業者に外注する場合、料金は1案件ごとに金額が設定されるケースが多いです。依頼する請負業者にもよりますが、1案件(プロジェクト)につき30万円以上はかかるとみて良いでしょう。
プロジェクトの規模によって料金に差があるため、費用を明示していない業者もいます。依頼する前に一度問い合わせしておきましょう。
請負業者に外注する場合、フリーランスに依頼するよりも金額が高くなる可能性があります。しかし、1つの案件やプロジェクトにかけられる手間や時間が多いため、成果物のクオリティを重視するなら請負業者を選ぶのがおすすめです。
とは言え、業者によって成果物のクオリティには差があります。事前に実績や評判などをチェックしておきましょう。依頼したい業者のホームページで実績紹介を確認するか、建設・建築系マッチングサイトを活用すると確認できます。
請負業者が設計事務所や工務店といった企業であるのに対し、企業や団体に属さない人がフリーランスです。最近では、スキルや経験が身につくまで企業に勤め、早期に独立してフリーランスとして仕事を請け負っている人が増えてきています。
フリーランスへBIMを外注する際も、仕事を発注して成果物を受け取り、報酬を支払う点では、請負業者に依頼する場合と変わりありません。「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスを利用すると、仕事を受けたいフリーランスとマッチングしやすくなります。
クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を確認してみると、1プロジェクトごとに2~5万円の間で取引されていました。業務内容はBIMの外観パース作成やモデリング、データ化の作業などさまざまあり、高くても10万円程度です。
利用するプラットフォームにもよりますが、フリーランスが多く集まるサービスを選べば、請負業者よりも低い金額で引き受けてくれる傾向にあります。
フリーランスの多くは、「ランサーズ」や「クラウドワークス」などに代表されるクラウドソーシングサービスを利用しています。クラウドソーシングサービスとは、依頼者と発注者を結ぶためのプラットフォームです。最近では建築デザイン関連を専門に受発注できるサービスも登場しており、専門的な案件を依頼したい人も外注先を見つけやすくなってきています。
フリーランスに依頼する場合は、必ず事前に実績や評価を確認しましょう。依頼した内容の相違やミスを避けるためにも、過去にどのような案件を受注し、どう評価されたかをチェックしておくことが大切です。
BIMを外注したときに得られるメリットは主に次の3つです。
BIMを外注すると、知識やノウハウをすでに持っている技術者に一任できるため、専門スキルを持つ担当者を雇う必要がありません。慢性的な人手不足で担当できる人がいない、今は採用コストをかけられないといった企業は、人員不足解消やコスト削減につながるでしょう。
また、社外の人を活用すれば新たに人材を育成する時間や手間がかからない点でも、リソースやコスト面での貢献につながると言えます。
BIMを外注する際に生じるリスクやデメリットは以下の通りです。
外注するとBIMの技術やノウハウを蓄積できないので、社内で成長が鈍化するおそれがあります。また、発注意図が上手く伝わらないまま外注が作業を進めてしまい、成果物が思っていたものと違った、というリスクも考えられるでしょう。修正依頼で追加費用がかかることもあり、結果的に内製するよりもコストがかさんでしまうケースもあります。
BIMの外注を上手く活用するためには、いかに依頼側と受注側の齟齬や相違をなくせるかが大切です。作業してほしい内容を明確する、外注側とコミュニケーションを密にとるなど、業務遅れや大きな修正が発生しないようにしましょう。
また、いずれは内製化したいと考えている場合は、外注へ依頼しながら社内でもBIMの知識やノウハウを蓄積していくことが大切です。成果物の簡単な修正や細かな作業は自社で行ってみる、外注との信頼関係を築いてノウハウを共有してもらうなど、少しずつナレッジを貯められる環境を整えていきましょう。
BIMを外注するとき「請負業者とフリーランス、結局どっちを選べば良い?」という疑問がよく起こります。どちらへ依頼するほうが良いか迷った場合は、クオリティや予算の面から総合的に判断してみましょう。予算が潤沢な場合やプロジェクトの立ち上げ時など、業務の擦り合わせから必要な場合は請負業者がおすすめです。
内製分の修正・追加や細かな作業であれば、請負業者よりも低価格で受けてくれるフリーランスを活用すると良いでしょう。案件やプロジェクト、依頼したい内容に合わせて柔軟に外注先を選んでください。
BIMを外注すると、すぐに社外の知識を活用できるため、人員不足解消やコスト削減につながります。ただ、BIMを内製で対応できるようになればさらなるメリットを得られます。いずれ内製化を目指したいと考えている方は、外注と同時にBIMソフトの導入も検討してみてはいかがでしょうか。