BIMを導入するにはBIMモデルを作成するためのソフトウェアが必要となります。BIMソフトには建築系、構造形、設備系、汎用、ビューアー・干渉チェック用、プレゼンテーション用など、それぞれの特徴があるので、まず何を目的にしたいのか、よく考えて目的にあったソフトを選ぶようにしましょう。ほとんどのソフトには体験版があります。BIMソフト選定の際には体験版を手にいれて実際に操作し操作感などを比較することも重要です。
2DCADソフトを使っているから大丈夫と思っていたら大間違いです。BIMはデータ量が多く3D表示などで高度な演算を行うため高い処理能力が必要となります。環境シミュレーションや高解像度レンダリングをする場合には更に高い性能が必要なので、導入するBIMソフトの動作環境(OS、CPU、メモリ、HDDなど)を調べ、どのくらいのスペックのPCが必要なのかチェックしましょう。
できればBIM専用のPCを用意し、作業用ディスプレイは24インチワイド以上が望ましいです。2つのディスプレイを並べて使うと、より作業しやすくなります。
建築関係者の間でデータを共有できるのもBIMの大きな特徴ですが、そのためには大容量データを保存できるサーバーとネットワーク環境の構築が必要となります。データ共有にはクラウドサーバーの利用がおすすめです。外部ストレージをクラウドに使う場合は社内のセキュリティに十分注意する必要があります。
作業用ディスプレイだけでなく、打ち合わせ用のディスプレイも必要です。会議室に打ち合わせ用の50インチワイドくらいの大型ディスプレイを用意しておきましょう。プロジェクターは大人数の打ち合わせやプレゼンテーションに使いましょう。ディスプレイのような発色の良さや明るい場所で使うというメリットはありませんが、機材を移動できるというメリットがあります。
BIMを導入する場合には体制作りも必要となります。初めて導入するなら、初期プロジェクトとしてBIM担当者を決めBIMモデルを作成するオペレータを配置します。普及がすすんだらBIMの部署を設置して全体の調整をはかるようにしましょう。BIM担当者は計画立案、スケジュール、外部交渉などを担当します。できれば意匠、構造、設備やICTに精通した人が望ましいですが、無理なら社外スタッフに依頼するという手もあります。
BIMの効果をより享受できる活用のしかたは全面的に活用することです。しかし最初は難しいので部分的な活用から、徐々に全面的な活用に移行する方法にしていくのがBIM推進の近道です。実案件で効果が期待できるBIM活用のワークフローは「1.部分的なBIM活用でノウハウを増やし人材を育てる」「2.前半をBIM、後半を2DCADにしてモデル合意がスムーズにできる体制をつくる」「3.全面的なBIM活用」の3ステップになります。
BIMソフトウェアを使用して建物をモデリングする際の作業の流れを紹介します。
最初に、建具・家具など建築オブジェクトを組み合わせて3Dモデルを構築します。コンピューター上での立体モデルの再現のほか、各パーツの品番、素材、寸法、単価などの属性情報を付与することができます。
構築した3Dモデルを基に、平面図・立体図・配置図など基本的な図面のビューを作成します。
面積表・数量表などの集計表を作成します。BIMでは集計表の内容が3Dモデルと紐付けられるため、3Dモデルを修正するとリアルタイムで集計表も自動修正されます。
ビューや集計表の内容を基に設計図面を作成します。BIMによる設計図面があれば、次の施工段階で必要な施工図の作成もスムーズになります。