ArchicadやRevitは、3Dモデルを作成するだけでなく、モデリングしたデータから図面を取り出してレンダリングし、プレゼンテーションに使えるCGパースを作成することも可能です。構造や設備も含め、ソフト1つで建設・建築業務に関する作業をトータルにカバーできる点が魅力です。 ここでは、BIMソフト1つで、すべての工程に活用しているArchicadの事例を公式サイトからご紹介します。
シーラカンスK&H株式会社の事例
参照元:Archicad公式サイト「事例紹介」
(https://graphisoft.com/jp/case-studies/coelacant-kh-architects-2021)
2000年頃、建築設計の実務経験を持つエジプト人スタッフが入社し、高機能なのにとても使いやすそうな3次元ソフトを持ち込んで使い始めました。「海外ではみんな使用している」ということで、横で見ていたスタッフたちも「これは業務にも使える」ということで、導入を決めました。
当時すでに3次元によるスタディも行なっていましたが、ツール自体はモデリングソフトを2次元CADと併用している状況。Archicadをいきなりメインツールとして作図に使うのは難しいものがありました。
それでもレンダリングやモデリングの操作性も優れていたのと、いずれ必ず模型を組み立てるように設計する時代が来ると考えて、積極的に使用していきました。
当初、Archicadは3次元スタディやパース制作のレンダリングツール的な運用が中心。図面は2次元CADで描いていました。しかし、2D/3Dなど複数のツールを併用するとコストが高くなることもあり、一つのメインツールで設計業務をトータルに行えるよう体制を変えていかなければならないと考え、Archicadをメインに選んだのです。
将来性はもちろん、Archicadの普及が進むにつれて事務所全体の効率化も進んでいる実感があったのが理由。さまざまに検討する時間など、純粋にクリエイティブに費やす時間を増やしたいという想いもありました。
そして少しずつArchicadをメインツールとする制作体制が確立されていきました。
Archicadをメインツールとした後で取り組んだのが、2012年度グッドデザイン賞を受賞(※)した“金沢海みらい図書館”(2011年)プロジェクトです。
“金沢海みらい図書館は、約45m角のワンルームに収めた大きな広場を連想させる図書館。
約45m角のワンルームに収めた大きな広場を連想させる図書館。いかに大空間へ自然に光を入れるか、どんな風に開口部を開けるかがポイントだったそう。大中小3種の円窓型開口6,000個がランダムに並んだ独特のパンチングウォールの外壁で、これにより図書館内は柔らかい光と森のような静けさに満ちた、落ち着きのある大空間です。
膨大で不規則な外壁の開口を、構造的な整合性を取りながら実現するという難題の解決に欠かせなかったのが、コンピュータでした。
ランダムな開口部の背後に仕込まれた構造のブレースの存在を感じさせないように開口部を配置するにはどうすべきか、コンピュータによって検証。必要となる条件をコンピュータにインプットし、ブレースと整合した3種類の開口パターンをプログラミングにより100パターン以上の円窓配置を生成。そこから、不自然ではないものや開口率ができるだけ大きいものを選び出し絞り込んでいきました。
これに合わせてArchicadによる日影シミュレーションや3次元スタディなども活用したということです。
※参照元:GOOD DESIGN AWARD 2012公式サイト(https://www.g-mark.org/award/describe/39384)
ここで紹介しているBIMソフト「Archicad」について公式サイトでもっと詳しく見る
2020年度に建設関係者480人に行った調査(※1)にて56.4%が勤務先でBIMを導入していると回答されているように、BIMの導入は急速進んでいます。
BIM導入済みの286の設計事務所においては、65.9%が「効果があった」とし、プレゼン力の向上、ミスの減少、時間短縮などの実感も得られています(※2)。
代表的なBIMソフトやおすすめの連携ソフトもまとめていますので、検討してみてはいかがでしょうか。