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【番外編1】BIMソフト同士を比較 ArchicadとRevit

国内外でシェアを争うBIMソフトのArchicadとAutodesk Revit。
3Dオブジェクトが充実し、CAD経験者には慣れ親しんでいるレイヤーの概念を持っているArchicadはBIMの利用を検討する意匠設計者には導入しやすいソフトです。

対するAutodesk Revitは各パーツの持つデータ情報を最大限に活用したデータベースとしてのトータル活用ができるBIMソフトとなっています。こちらでは、それぞれの機能、操作性、価格の違いを比較し、どんな人や企業に向いているかについてまとめています。

対応OSの違い

ArchicadはWindowsとMacの両方で使うことができますが、RevitはWindows向けに作られています。ほとんどの日本の企業はWindowsを使っているのでRevitを導入しておけば間違いないでしょう。

Macを利用しているのは個人アトリエを持つデザイナーや小規模なデザイン会社や設計事務所が多いので、そのような場合はArchicadをおすすめします。
Macに付属のユーティリティであるBoot Campを利用してWindowsをインストールし画面を切り替えてRevitを利用することもができますが利便性を考えたらあまりおすすめできる方法ではありません。

機能の違い

Archicad デザインなどを重視するアトリエ系意匠設計の場合は曲線が書きやすいArchicadがよいでしょう。
Archicad単体ではRevitのような構造や設備の操作ができませんが、ソフトを追加することで可能となります。
Autodesk Revit RevitはBIMの中でも情報を連携するという機能に優れています。
例えば、単体で設備や構造の操作ができるツールが入っているので、構造、意匠、設備の情報を設計初期の段階から同時に検討することができます。

操作性の違い

Archicad CADユーザーにはとってはおなじみのレイヤーによる表示・非表示機能があるのでBIM初心者でも簡単に操作することができます。
またWindowを使い慣れていないMacユーザーの場合、Windowsでしか動かないソフトを操作するには慣れが必要となりますが、Macで使うことができるArchicadなら操作も簡単です。
Autodesk Revit 部材を構成していくことで建物を形成していくBIMの概念が強いのでレイヤーに慣れているユーザーにはなじみづらく慣れるのに少し時間がかかります。
導入してすぐに操作するのは難しいですが慣れてしまえば全く問題ありません。

価格の違い

Archicad 買い切りで永久利用することができます。
Archicad 24 Soloは379,500円(税込)Archicad 24は924,000円(税込)、ハードウェアプロテクトキーは別売(5,500円(税込)となっています。
Archicad 24のネットワークライセンスの場合は2ライセンス以上が必要となります。
長い間使う場合は買い切りがよいでしょう。30日間の体験版もあります。
Autodesk Revit 1ヶ月から3年単位でのライセンス契約で1ヶ月契約が
53,900円(税込)、1年契約が427,900円(税込)、3年契約が1,155,000円(税込)です。
体験版も用意されています。
長期に渡って使う予定のない場合はライセンス契約がおすすめです。

連携できるレンダリングソフトは?

BIMソフトと連携してプレゼンテーションをランクアップさせることができる「レンダリングソフト」が多数存在しています。
Archicad、Revitとへプラグインで連携できる便利なレンダリングソフト3製品を紹介します。

※2021年8月1日時点で「建築 レンダリングソフト」で上位表示されているレンダリングソフトのうち、BIMソフトArchicad・Revitへプラグインで連携できる3製品を紹介しています。
※2021年9月時点で販売されているバージョンにおけるスペックや価格情報となります。

Enscape Lumion Twinmotion
レンダリング
画像
Enscape Lumion Twinmotion
対応OS Windows Windows Windows/Mac
特徴 3Dウォークスルーをリアルタイムで作成。360°パノラマも短時間で作成できる。 高解像度の美しいウォークスルームービーを高速レンダリング。変更もリアルタイムに適用。 1つのシーンから静止画やプレゼンテーションまで生成。簡単に学習できて使いやすい。
互換性 ●エクスポートファイル
スクリーンショット、バッチレンダリング、モノパノラマ、ステレオパノラマなど9種類
●モデリングソフト
SketchUp/Revit/
Archicad/Vectorworks/
Rhino
●インポートファイル
3Dモデル:.DAE.SKPなど8種類、画像:TGA/DDSなど6種類、マテリアルマップ、動画、ライトマップ、バックグラウンドサウンド/ミュージック(WAV)
●エクスポートファイル
画像:TGA/DDSなど4種類、ビデオ:MP4/JPGなど5種類、音声、パノラマ、デプスマップ、照明マップなど
●モデリングソフト
SketchUp/Revit/ArchiCAD/Vectorworks/3dsMAX/GLOOBEなど13種類
●インポートファイル
FBX、SKP、C4D、OBJ
●モデリングソフト
Archicad/Revit/
SketchUp Pro/RIKCAD/
Rhino(Grasshopper含む)
※プラグインをダウンロードしてインストールする必要あり
操作性 明るさやコントラストなどの設定は数字と文字のパラメータによる 操作項目ごとにアイコンがあり、直感的に操作できる 操作項目ごとにアイコンがあり、直感的に操作できる
サポート 2週間無料体験版あり問合せの内容を英訳してメーカーに問合せてもらえる 無料体験版あり、オンライン無料講習、プライベートレッスンあり。プラットフォームが豊富。 無料体験版、オンライントレーニング、日本語オンラインヘルプなど
公式サイト

Archicadの特徴

Archicad公式サイト
引用元HP:Archicad公式サイト
https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad

デザイン性を追求した設計ができる

ハンガリーのグラフィソフト社が開発した建築・建設用BIMソフトウェアArchicad。1つのBIMモデルの中にすべてのデータが集約されているので、これまでのように色々な整合性を気にせず、品質や精度を損なうことなくデザイン性を追求して設計することができます。レイヤーの概念もあるので2次元CADに慣れている設計者にも使いやすいです。

プレゼンテーションが簡単

最初から3Dモデルを作成して設計していくので、設計初期段階でも簡単にプレゼンテーションを行うことができます。施主との打ち合わせの時に設計変更があっても、その場で変更ができ、すぐに変更後の3Dモデルを見せることができるのも大きなポイント。ウォークスルー機能では実際に建物のなかを歩いているようなプレゼンも可能です。

複数メンバーの同時作業で効率アップ

複数のプロジェクトメンバーが同時に作業することができるので効率がアップします。変更点もリアルタイムに反映でき、社内だけでなく社外メンバーとの共同作業も容易にできます。出勤が出来ない場合でも自宅のPCで会社にいるのと同じように図面を見ながら打合せができるのでリモートワークでも問題ありません。

無料ダウンロードできる3Dオブジェクトを用意

公式HPにArchicadで使用できる3Dオブジェクトが数千種類用意されていて無料ダウンロードができます。ドラッグ&ドロップで簡単に利用できるので、設計者は施主の要望を聞きながら視覚的にアプローチをする事ができ、よりクライアントの理想に合う家を設計する事ができます。

Revitの特徴

Autodesk Revit公式サイト
引用元HP:Autodesk Revit公式サイト
https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview

修正箇所をリアルタイムに反映できる

Revitは米国のAutodesk社が開発したBIMに特化したCADソフトウェアです。精度の高いモデリングを3Dで行うことができ、平面図、断面図、立面図を自動的に作成することができます。3Dビュー、集計表、レンダリングなどもでき、全てのデータが連携しているので一ヶ所を修正するとリアルタイムで全てが変更でき効率的な作業を行うことができます。

設計作業を共同で行える

建築設計、構造エンジニアリング、機械、電気、配管、建設施工といった設計作業を共同で行うことができ作業効率をあげるだけでなくミスや時間のロスを抑えることができます。レンダリングソフトやプログラミング環境ツールDYNAMOなどと連携すれば設計変更、図面作成、パース作成、干渉チェックなど幅広い作業が可能となります。

様々な解析機能が搭載されている

Revitにはあらかじめ様々な解析機能が搭載されているので、デザインだけでなく構造解析、通風解析、照明解析など色々な解析をすることができます。設備機器を導入するコストが算出でき、複数設計者で解析結果を共有しながら設計できるので干渉や不整合などといった問題もおきにくくなります。

プレゼンテーションから現場まで意思疎通を図りやすい

作成された3Dモデルを使って様々な方法のレンダリングを行うことができます。Autodesk360クラウドシステムやメンタルレイ・レイトレースを利用するとCPU負荷を上げずにレンダリングできるので作業もスムーズに進みます。プレゼンテーションから現場の説明に至るまで、図面で説明するよりビジュアライゼーションされた3Dモデルを使うことで意思疎通が図りやすくなります。

まとめ どんな人(企業)向けか

Archicadの場合

2D、3D、平面図、立体図が作成でき全てのデータが連動しているので必要な情報を簡単に編集したり取り出したりできます。

たとえば壁や柱の寸法や平面図の角度を変更すると即座に関連する図面やデザインに反映されます。複雑形状のアイデアを3Dモデリングで再現できるなどデザイン機能も充実しています。

ArchicadはどちらかというとMacを利用するデザイナーやデザイン事務所に向いているソフトです。

Autodesk Revitの場合

Revitは設計、構造、意匠、設備など様々なデータ作成機能やシミュレーション機能などを備えたWindowsに特化したBIMソフトです。ほとんどの日本の企業では基本的にWindowsを使った設計業務を行っています。

意匠設計、設備設計、構造設計のチームが共同で設計をまとめていくので連携することが重要となり、連携が上手くいかなければ設計が破綻してしまいます。チームワークを重視して設計されているRevitは日本の建築会社向きのソフトであるといえるでしょう。